【インタビュー】再春館製薬所 漢方事業部 山田佳明

「今度は、私たちが恩返しをしていかなきゃいけない。自分たちができる最大の恩返しは、 “治す”ことだと思うんです。」

漢方事業部の長であり、2児の父親。

「正直、地震の直後は、大変って意識はあんまりなかったんですよ。

とりあえず、避難をと思って小学校に向かいました。途中、トイレを借りるためにコンビニに寄ったけど、水が出ないんで、かなりの汚物が積もっていたんですよ。

こりゃいかんって、小学校のトイレにいったんですけど、やっぱり同じことが起きていて。そこを使った人の気持ちを考えたら、本当に非常時なんだって、はじめて思い知りました。


本当にやばい、ってすごく感じました。

ここにじっとしていちゃいけない、動ける時に動かないといけない。

子どもがね、地震の影響からか体調崩して吐いちゃったりしていたんで、腸炎とかで周りにうつすことがあったらいけないと思って、とりあえず福岡の実家に向かったんです。

実家について、その日は、疲れきって寝落ちしましたね。


で、次の日、嫁さんと子供は実家に避難してもらっておいて、自分は会社に戻るために、連絡を取ったんだけど、物資が足りないと聞いて、人生初の爆買い!

お店の人に事情を話して、棚の商品がなくなるかもしれないけどいいですかって相談したら『どうぞ、どうぞ』って言ってくれたので、歯ブラシをここからここまで全部とか、体をふくシートを棚にでているのを全部とか。

その物資を持って、17日の夜には熊本に戻ってきたんだけど、前震のあとは、ほとんど大丈夫だった会社が、かなりひどい状態で、正直、うわって衝撃をうけた。このままつぶれてしまうんじゃないか、そんな思いも浮かんできた。


そんな中でも、会社の代表電話にどんどんお客様から電話が入ってきていたんですよ。

『大丈夫ですか?』 『とにかく心配で電話しました』

『まずは自分たちを大切にして。待っているから。』って、本当にたくさんのお客様が心配して電話を下さった。

ありがたいって思った。ありがたさもそうだけど、お客様とのつながりの強さ、密度の濃さをすっごく感じて、胸が熱くなった。

何より衝撃的だったのは、『何もできなくて、ごめんなさいね』っていう声がものすごく多かったことなんです。だって、あやまる必要なんか一切ないじゃないですか。

『ごめんなさいね』ってあやまるって、僕たちのこの状況を自分事にして心配してくれているからこその、声だと思うんですよ。


思わず泣けてきました。

それって、モノの売り買いだけじゃない、お客様とのお付き合いがあったから、一日、一日の積み重ねがあったからだと感じたんです。

今までやってきたことは、間違っていなかった、やってきて良かったと思いました。

今度は、私たちが恩返しをしていかなきゃいけない。



自分たちができる最大の恩返しは、事業部のテーマでもある“治す”ということ。

それが最大の恩返しになるはずだって、あらためて事業部の皆と話したんです。

お客様一人ひとりのことを考えて、そのお客様にあわせた対応を、あらためて大切にしていきたい、大切にしなきゃいけない、そう思っています。」

家族も熊本に戻ってきて、あらためて安心したという。

当たり前が、当たり前じゃない。ものすごく大切なことだと気付いたからこそ、一つひとつのお付き合いを、大切にしていきたいと語っていました。

【再春館製薬所】熊本復興への取組み

再春館製薬所は、熊本に生まれ、熊本に育まれてきた企業です。 私たちは地域の皆様と共に「元気な熊本」を取り戻すために、地元である熊本・益城町の復興支援に取り組んでいくことはもちろん、地域の現状を伝え続けていくことが、同じ被災地に生きる私たちの責任だと思っております。