「子どもたちに、地震の経験をマイナスからゼロにではなく、マイナスからプラスの状態に変えていけるような居場所やきっかけを作っていきたいです」
そう語ってくれたのはNPOカタリバの井下さん。
井下さんは、札幌で広告の営業として働いていましたが、教育に関わる仕事がしたいと思い「カタリバ」に転職。ちょうどそのタイミングで熊本地震が起こり、「熊本コラボ・スクール」に従事することになりました。
「カタリバ」は2001年に設立、主に高校生へのキャリア学習支援を行ってきた教育NPOで東日本大震災が発生した2011年より、被災地での放課後学校「コラボ・スクール」を展開。
「被災した子どもたちが安心して学べる場を作ることで、これからの東北復興を担うリーダーを育てたい」という想いで活動が始まったそうです。
熊本地震直後、被災状況が特に甚大だった益城町の緊急度が高いと判断し、町とも相談して、中学校で、学校行事の支援として職場体験などキャリア教育に関する授業の支援を開始。さらに夜間は『ましき夢創塾(むそうじゅく)』」と称して、仮設住宅テクノ団地の集会所で学習会を開催しています。
この学習会は、狭い環境の中で居場所がなくて勉強できない、落ち着いて集中できない、という子どもたちに開放されています。学校や塾と同じように開始時間になると、「よろしくお願いします」と挨拶からスタートします。
実際にお邪魔させていただいたときは、もくもくと勉強している子もいれば、井下さんや支援しているお兄さんやお姉さんに勉強を教わっている子もいれば、仲間同士でお話ししたり様々です。子どもたちにとってこの場所は、単に学習するだけの環境ではなく、家族のようにあたたかい人とふれあう場所なのだと感じました。
最後に井下さんから、「東北での活動で多くの皆さんから支えていただき、今の私たちがここ熊本で活動することができています。これからも『ましき夢創塾』を開設しながら、益城町の中高生が落ち着いて学習できる環境づくり、また視野を広げ自分の将来に向けて進んでいける環境づくりに取り組んでいきたい」と笑顔で話してくださいました。
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