「ドモホルンリンクルを作るのは本当に難しい、簡単じゃない。そのことを痛感しました。」
研究開発の長として、ドモホルンリンクルの品質を支える諫本貴之。
「あの地震のあと、まずは社員の安否を確認して、何よりも身の安全を優先してもらったんですよね。みんなが無事だってわかって安心した後、『お客様にちゃんと商品をお届けできるのか』が、大きな課題となって、目の前にあったんです。
社員を支えていくにしても、地域の復旧、復興に力を注いでいくにしても、商品がなければはじまらない。
だけど、肝心の薬彩工園(製造工場の名称)は建屋のあっちこっちがひび割れ、天井は剥がれおちていて、クリーンルームや機材なんかは正直めちゃくちゃだった。資材倉庫も、保管していた容器が積み重なって瓦礫の山のようで。
そんな中、ドモホルンリンクルを作る釜はなんとか無事だったけど、余震が続く中でモノづくりができるのか、課題はそれこそ山のようにありました。
一刻もはやくお客様に商品をお届けするためには、ドモホルンリンクルを他社様の工場で作ることも検討したほうがいいんじゃないか、そんな議論にもなった。あらゆる可能性を検討したんです。
でも、正直リスクが大きすぎると思いました。
ドモホルンリンクルは、およそ170種類もの天然由来の原料を使っています。
それだけの原料を、正しい分量で、正しい順番で混ぜ合わせていくことはもちろん、乳化の時も、釜の大きさが違えば、熱の伝わりかたや撹拌効率なんかも違ってくるから、状態を見て判断する長年の経験がすごく重要になってくるんですよ。
さらに、ドモホルンリンクルはパラベンフリー、防腐剤フリーで作り上げている。気が遠くなるような確認作業があって、細部に至るまで気をつけないといけない。それこそ、1つのミスも許されない。
そんな難しい処方をやり遂げられるのも、開発スタッフと製造スタッフが一緒になって、それこそ、二人三脚でやってきたから。
今のクオリティを突き詰める以上、他所で作ることは難しいんです。
お客様の声を直接伺う現場と、モノづくりの場所と、この2つがすぐ近くにあるから、再春館だと思うんですよ。
それに、ここ熊本の水で、熊本の環境で作るから、今のドモホルンリンクルがあるとも思っています。
幸い今回は、社員はもちろん関わってくださった本当に多くの協力会社の方々が、頑張ってくれたこともあって、今、ここ熊本でドモホルンリンクルを作り続けることができています。
だけど、今回の地震を通して、本当にいろいろなことを考える機会にもなったし、課題にも気づかされました。」
お客様に、最良のものを安心して使い続けていただきたい。だからこそ、熊本で作ることにこだわり、その課題に取り組みたいんだと諌本は語りました。
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